タイの人材市場の概観 ~タイ3

タイは80年代後半からのFDI(海外からの直接投資)を受けつつ、輸出志向型の工業化経済を推し進めてきているので、その分野の日本企業、海外企業の数はとても多い。また、90年代を過ぎて消費社会に突入しており、流通・サービスなどの第3次産業も発達しています。日本からバンコクに来ると、その発展具合に驚かれる人も多いと思います。

 

産業を支える「教育」についても、タイはなかなか優等生で、高等教育の大衆化が完了しています。なので、第3次産業を支えるホワイトカラーの層も分厚くなってきています。タイのトップ層の大学は、大学の中に「Internationalコース」と「Nationalコース」を2つ持っていて、Internationalコースでは英語で授業が行なわれているそうです。ちなみに小学校からInternationalスクールで英語授業を受けるというスタイルも広がっているらしいです。(うちの社長の息子たちはInternationalスクールに通っており、7歳、10歳にしてまだ拙いけど英語を喋ります)

 

そういうわけで求人情報を見ていても、90%くらいの求人は「Bachelor Degree」が求められ、学歴の分野としても「Engineering」「Accounting」「Marketing」「IT Technology」の専門が多く必要とされています。さらに上で挙げたように、タイでは外国資本の企業が多いため、そのような企業で働くためには「英語」が必須能力として挙げられています。(さらに日本企業では日本語が喋れればBetter)そういうところでは当たり前ですが、Resumeも英語で提出が基本です。今いる企業でも、半分くらいの人は英語を難なく話すという状況です。(もちろんタイ企業なので基本タイ語で仕事していますが)

 

新卒一括採用、終身雇用前提という日本の昔ならではのような文化も特になく、第3次産業に人材が移行している、キャリアのステップアップを前提とした柔軟な人材市場だと思います。むしろ、キャリアについての思考は日本よりも海外に向いていますし、多くの人が海外でMaster DegreeMBAを取ることを自然に考えています。

 

ところで、タイにおける日本のプレゼンスは今なお高く、特に80年代は日本からの直接投資が盛んで多くの企業がタイに群がったため、「日本語」の需要は大きくなっており、タイの高校で「日本語」が選択可能で勉強できていたという個人的に驚愕の事実は、日本語を喋れると就職にも有利で高い給料がもらえたというのが背景かと納得できました。だから最近では中国語のほうが人気とのことです。高校で日本語を勉強していたけれど、大学では中国語を選択し、日本語は忘れた!という人がちらほらいて残念な気もします。でも未だに、日本語が喋れる人の需要はあり、Adeccoが作っているタイのSalary GuideでもわざわざJapanese Speaking市場について枠が設けられていて、その調査では実際に、平均の給料よりローカルの人に比べて150%くらい高給のようです。日本企業用のRecruit Agencyも幾つか見つけることが出来ます。日本の過去のプレゼンスの高さと、現在のプレゼンスの低下を同時に感じました。

 

まだまだタイの労働市場については理解不足のため企業や学生、社員さんの話を聞きながら掘り下げていければと思います。

 

(タイ発 一橋大学・森永知洋)

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