前回は、捨てられた犬猫がどのような末路を歩むのかについて話しました。ショックを受けた方も多いかと思いますが、これが今、日本で行なわれている殺処分の現実の姿です。
そして、私が今回取材でお会いした方々は、このような現状に対して問題意識を持つと共に、人間の身勝手(安易に飼い犬・猫を捨てるなど)で殺されていく動物を減らそうと努力されています。
処分が行なわれている動物指導センターでも、職員の方々はできるだけ多くの命を救うために、さまざまな取組みをされています。
その1つとして挙げられるのが、園児・小学生・中学生を対象として行なわれる、動物とのふれあい教室です。
この教室の目的は、小さなうちから動物と関わってもらうことにより、動物を身近に感じてもらうこと、そして何よりも、動物が「人間と同じ、生きている命である」ということを肌で感じてもらうためのものです。
実際、園児たちが動物の心臓の音を聞いたり、彼らに直接触れたりすることで「心臓の音がドクドク言っていた!」「動物はとても温かかった」と、新しい発見をしてくれると言います。
幼少時代の発見や感じたことは成長してもなかなか忘れることがありませんから、このような体験は非常に素晴らしいものだなと感じました。
環境省の自然環境局総務課動物愛護管理室室長補佐の今川正紀さんによると、「捨て犬や捨て猫を減らそうと何かの対策を打つにしても、国民理解に基づいて成されない場合、法令や対策の独り歩きになってしまい、効果の促進には繋がらない」とのことでした。
つまりは、このような1つひとつの活動を通して、指導センターや自然環境局動物愛護管理室で働く方々は、国民の意識の方向付けに力を注いでいるのです。
私は、処分場を含む大型の動物保護センターでは、職員の方々が心痛を抱えながら日々殺されていく犬や猫を見送り、救いようのない現状を押し付けられているというイメージを勝手に持っていましたが、動物指導センターの大畑さんと話しているうち、そうではないんだということを強く感じました。
職員の方々の活動の結果、譲渡が決まった子犬たちの飼い主が、数年経って成長した姿の写真を送ってくれるそうです。殺処分を減らそうと努力する職員の方々にとって、譲渡された犬たちが飼い主のもとで幸せそうに暮らしている様子を見ることは、とっても励みになると言います。
また、さきほどのふれあい教室などの際に、園児や小学生から動物に対する関心の高まりの生の声を聞くことで、「やってよかった」と強く思うそうです。
捨て犬や捨て猫と一番近い場所にいて、辛い現実と闘わなければならない反面、犬や猫が救われていくことへの喜びもひとしおなのだなと、感じました。
ちなみに、こちらは埼玉県動物指導センターで、活動中の活動犬、活動猫たちです。



活動犬・活動猫とは、ふれあい教室などイベントを行なう際に、園児や小学生、中学生を相手に活動(ふれあい)をするのでそう呼ばれています。彼らも元は捨て犬・捨て猫でしたが、適性(おとなしい・人なつこいなど)を認められ、今は元気に頑張っています。
環境省のデータでは、全国の殺処分率は平成元年の96.8%に比べ、19年度で89%と、年々下がってきています。
暗い現実だけではない、その中にも希望の光がある、このことを知ることができたことが、今回の取材を通してわたしには一番大きいところだったと思います。
これからも、どんどんと光の部分が大きくなってくれればと思うし、私自身、できることを探していきたいと思いました。
これで、動物愛護週間にちなんだ短期集中掲載を終了させていただきたいと思います。ずっと読んでいただいた皆さん、ありがとうございました。
獨協大学 丸賀江里子
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