第1回 東京を表現せよ!
某日、某所、第1回「会計ミステリー特訓ゼミ」が開催されました。
「少人数しか面倒見る気がないので募集しないでください」
いつにも増してわが道をいく田中先生の希望に従い、
まったく募集をかけなかった当ゼミ。
誰も来ないのではないかとドキドキものでした。
しかし、メンター塾・学生記者の小出悟嗣さん(大学4年生)の原稿を読んで納得!
そうかあ、“募集”などは先生にとって“受け身”そのものなのだ。興味がある人は募集などかけなくても、なんとかして我々に接近して参加するものなのだ。
初回から脱帽!
授業内容も期待を裏切らず、ミステリアスでした。
それは奇想天外な始まりだった
「田中先生が、なにやら会計の勉強会を開催してくださるそうだ」
そう友人に誘われて、二つ返事で参加を希望した。田中先生といえば、メンターダイヤモンドで「数字でみる会社の選び方」を連載している公認会計士の先生だ。
会計知識の1つも身につけばと、特に心構えもなく楽しみにしていた。
しかし、振り返ってみると、それはまったく想像力の欠如と、与えられることを待つ受け身の姿勢だったと思い知らされる。
予定時間の午後3時。田中先生の事務所のある小さなビル下に集まったのは、大学生4年生3人と3年生1人の計4人。そこに田中先生のご登場! 事務所の中に入れてもくれずいきなり、
「東京駅へ行き、東京を表現していると思う風景を10分間でスケッチしてくる。後で東京を表すキーワードを発表してもらう」と言い渡された。
先生の意図をつかめないまま、参加者の4人は東京駅へ向かう。駅の前で1人、横断歩道でまた1人と、「東京らしい風景」を描くため、散り散りに。いったい何をさせようとしているのか、○×△□…。
「みんな違う」ー 10分間制限スケッチの驚き
10分制限のスケッチの時間後、事務所でそれぞれが書いたスケッチとキーワードを見比べた。
驚いたことに、どれ一つとして同じ絵はなかった。いや、当たり前のことかもしれない。
キーワードも少しずつ異なっていた。先生の意図が、薄ぼんやり見えた気がした。

大学4年生は就職活動を経験するなかで、同じ価値観・基準に自分をはめ込んでしまう傾向がある。
もう1つは、「受け身」への反省である。
今日ここに来るまで、事務所に通され、講義を受ける姿をイメージしていた。
先生はそれを、与えられることに慣れ切っている、受け身の姿勢であると指摘された。
実際に新入社員の多くが受け身であることを、就職先の先輩社員は不満に感じているらしい。また、受け身で過ごしていては、貴重な経験にも恵まれなくなってしまうそうだ。
社会で成長するためには、受け身にならないこと。たとえばスケッチの課題を言い渡されたときに、「なんで先生はこの課題を出すのだろう?」と考えるような、先を「想像する力」と「主体性」を持つことが大事なのだそうだ。
ただ、ここにも問題がある。実社会では、皆に同じ価値観・基準を求める「同質化」の力が働いていて、特に学生が行きたがるような大企業ほど、その傾向は強くなり、望まずして受け身に陥ってしまうことが多いという。
コアを売り渡さず生きる
では、どのようにして社会との折り合いをつけていくべきか。

「ここだけは譲れない」という自分の「コア」=「人生の目標」を持つこと。
その「コア」だけは売り渡さないようして、「同質化」と向き合う。
なるほど! 要するに「コア」さえ守れば、あとは柔軟に! ということか?
そうはいっても「聞いた話」の域を出ておらず、実践するにはほど遠い。ただ今日はちょっといい話を聞いた気がした。そして会計の「か」の字も出てこなかったことには、気がつかないまま、事務所を後にするのであった。
小出悟嗣(早稲田大学 第一文学部4年)
[ゼミ後記]
会計力って、単に数字に強いことではないのです。むしろ数字だけで企業を分析することを否定することから入る田中先生らしい第1回でした。第2回も先生の意向により、募集はかけられないと思いますが、開催日くらいはお知らせする予定です。ああ、アタシはたくさん集めたいのに(編集部・O)。