
「お母ちゃん、僕は歩くからね」
そのときの母の号泣は忘れられません。
5歳の頃、たいへんな交通事故に巻き込まれました。クルマに50メートル以上引きずられる事故に遭い、頭蓋骨骨折、内臓破裂の重傷を負いました。道路はまさに血の海となり、ただ死を待つだけの状態。奇跡的に心臓が止まらなかったおかげで命は助かりましたが、もう立って歩くことは無理だと宣告されたのです。
退院後しばらくして母と一緒に上野動物園へ行き、そこで告げられた言葉を今でもはっきり覚えています。
「あなたは一度死んだ命なのです。だから、これからは人のために生きなさい」
それに対して、私は自分の力で歩くと言ったのでした。
何気なく口をついて出た決心かもしれませんが、これが私の人生の出発点です。それからが、私の戦いの始まりでした。
小学校に入学後、ギブスや松葉づえの助けを借りても歩くことはできず、1歩進んでは転ぶということの繰り返しでした。子どもでも5分で歩ける学校までの道のりを、1時間かけて通いました。
しかし、わずかずつですが歩けるようになり、小学6年生になったときにはなんと普通に歩けるようになったのです。かつて医者に歩くことはもう無理だと宣告されたのに、奇跡が起こったのです。 |